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劇団第一主義「虫のなんたるか」

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レビュー » 演劇
執筆 : 
イチロウ 2016-7-21 1:48
2016年7月4日月曜日、劇団第一主義ステージプラスに小屋入り。
ウチはだいたい金土日の3日間の公演が多いのだが、
今回の第一主義は一週間の小屋入り期間で計7ステージという「攻め」の興行。

それまでのじとじと雨が嘘のように連日真夏日が続いた。
座組は20人超えの大所帯。休憩中のカウンターはいつも人で溢れかえっている。暑苦しい。
そろそろ蝉が鳴き始める時期。
夏。夏は虫の季節でもある。

今回の「虫のなんたるか」はオリゴ党主宰岩橋貞典氏が2006年に書いたもの。
総勢11人の登場人物が出てくるが、彼らの苗字はみな変わってる。
甕覗(かめのぞき)、呉須(ごす)、海松(みる)。適当なような、意味ありげなような。

地方にある、その地域を牛耳る地主が所有する鍾乳洞が舞台。
そこに昆虫を研究する大学生チームが現地調査に訪れるところから物語は始まる。
どうも新種の昆虫が棲息しているらしい。
閉鎖された鍾乳洞を舞台に、時間と人物が入れ替わり立ち代わり揺れ動きながら、
ジグソーパズルをはめ込んでいくかのように話は進んでいく。

登場人物はほぼ均等な出番。軸となる主人公は不在。感情移入も拒絶してるかのよう。
時間軸、視点軸が何か不安定。
“不変”で“普遍”な「虫」が人間を観察しているかのような独特な時間感覚、空間感覚。
閉鎖された空間でのどろどろとした人間模様が繰り広げられる。
美しくない恋愛、見栄、欲、無責任さ。

観終わってすぐはピンと来なかったのだが、あとでジワジワ〜と来る系の作品だと思う。
楽しくも濃ゆい初夏の七日間だった。

今年2月に上演された劇団ホウコウセイ「澱み」とキャスト、スタッフがけっこう被っていて、
前回と同様平均年齢はかなり低そうだった。

高校の同級生男2、女2の仲良し4人組が久しぶりに最寄りの喫茶店に集まって、各々夢を語り合う。
寿司職人に弟子入りする者、親の病院を継ぐべく医学部に入学する者、東京で舞台俳優を目指す者。
一人、バーテンダーになる夢を諦め信用金庫の事務員になろうとする少女がいる。
女優志願の少女と平凡なOLになろうとする少女を対立軸にして、夢を持つことの大切さが描かれる。

舞台はどこにでもありそうな喫茶店限定で、椅子に座っての会話シーンが大半を占める。
一本調子で観ててしんどかった。
回想シーンを挿入するとか、店のBGMが流れてるとか、ちょっとした演出があると大分観やすくなったんじゃないかな。


自分たちの世代 背丈に合わせた題材の選択には好感が持てた。
夢はゆっくり見つけたら良い。焦る必要はない。
コーヒーにわざと砂糖を入れて飲む。それこそが大人の余裕ってもんだ。
オリジナル脚本3本のオムニバス公演。ギャグ中心。
特に期待せずに観たが、なかなか面白かった。笑いもとれていた。
3本通じて主要な役を演じた主宰の那須翼が良かった。
端正な顔立ちで無表情。バカバカしいパフォーマンスを大真面目にやるところ等、
壱劇屋主宰の大熊氏を彷彿とさせた。

「家庭防衛軍」
鬼嫁から虐待されてるサラリーマンが同じ身の上の者が集まる家庭防衛軍に参加するのだが。。
ヘルメットにスーツ ふんどし姿の男たちが眩しかった。

「本音と建前」
大金持ちのお嬢様のお見合い騒動。
ヒロイン役坪井智美のはじけっぷりが楽しい。

「サンタの裏事情」
クリスマスに子どもたちへプレゼントの発注業務に追われるサンタ一行。
素直な良い脚本。うまく纏められていて高校演劇なんかで使えそう。テンポも良い。
笑いあり泣きありの良い話なのに本公演が梅雨。
クリスマス前にやったらもっと盛り上がったと思う。
ダメサンタ役森廣晃平の演技がキュート。

クレナイヌ「朝に死す」

カテゴリ : 
レビュー » 演劇
執筆 : 
イチロウ 2016-6-5 2:26
チラシに使われた写真が抜群だった。
街角に佇むいわくありげな男と女、仄かに香るエロス。

オープニング。
大音響でキングクリムゾン「太陽と旋律」が流れる中、
プロジェクターで昭和の大事件の写真がコラージュされる。小気味よい出だし。

舞台には一面に新聞紙がぶちまけられている。
ヤクザ組織を裏切り追われている男、同棲してる男から暴力を振るわれてる女。
女は彼目がけて放たれた流れ弾にたまたま当たって、足を負傷した。
見知らぬ男女が出会うが、二人の会話は一向にかみ合わない。

主演男優、仲野元貴は70年代の松田優作や水谷豊を思い出させるギラギラな獣のような男を演じた。
女優羽田兎桃は かつて漫画家石井隆が描いた名美を彷彿させるひたすら堕ちていく女を演じた。
救いようのない物語。今の時代にはない貧しさ 愚かさ 汗臭さ。

もともとの戯曲は、劇作家清水邦夫が1958年早大在学中に執筆したもの。
二人の両親さえ生まれていないであろう時代に書かれたものだ。

演出は打上時、「この物語を現代に蘇らせようと試みた」と言ってたが、
私は「過去の物語をそのまま高い精度で再現した」ように見えた。

入口カウンターには、 チラシの写真を撮った同一のカメラマンによる「二人の幸せそうな写真」が陳列されていた。
救いようのない物語の「ありえた未来」。二人の転生した魂のように視えた。

VOGA「Social Walk」

カテゴリ : 
レビュー » 演劇
執筆 : 
イチロウ 2016-5-29 1:35
VOGAは維新派から派生した劇団。
私自身維新派は「日本維新派」時代も含め幾度となく観劇してるが、VOGAを観るのは今回が初めてである。
行きたいと思ったのは、劇団のネームヴァリューだけじゃなく、会場が「石清水八幡宮」というのに興味がひかれたのが大きかった。

維新派に行く時もそうだが、「何をやるか」じゃなくて「どこでやるか」というのが大きいのだ。
「五月の京都、会場には八幡駅からケーブルカーに乗車要」、観劇というより小旅行。

で、当日。
男山ケーブルを下車し、山道を歩くこと10分。普段は石清水八幡宮の駐車場に使用される木々に囲まれた空間に舞台はあった。
会場内には屋台村が出店し、酒、エスニックフードが売られている。
日暮れ 木漏れ日が美しい。

会場前の客入れBGMがずっとビートルズ。
ゆるゆると開演。
舞台の時代設定はまさにビートルズ来日前夜。
昭和30年代頃の京都を舞台とした、少年が幻視する不思議な大人の世界。。

しっかりと維新派からジャンジャンオペラのDNAを受け継いでる。
イメージの断片を積み重ねてゆくのは維新派譲りのスタイルなのだが、VOGAはもう少し物語寄りだ。
鳥かご、女子高生、銭湯、ラジオ。
ラスト、完全暗転。見上げれば漆黒の夜空。
原始の演劇は、野外で行われた。アメノウズメの舞はこんな夜に行われていたのだ。
演劇を超えた何かを満喫した一日だった。
SNS等の公募により集まった劇団はバラエティに富んだラインナップだった。
お客さんの投票による順位は、1位無名劇団、2位うましかやろう、3位ないすばでぃプロジェクト、4位ラフトランポリン企画
という結果だった。
複数団体によるショウケイス公演、演劇祭は何度も観てるが、他と比べても
全体的にレベルは充分高く、この内容でチケット2000円は安かったと思う。

☆各劇団の寸評☆

1位 無名劇団「リメイク版 カルビ」
ベッドを赤で飾り付け 禍々しいイメージ。
かつて恋人と一緒にいた部屋で一人焼肉する女性。
主演の島原夏海の狂気を孕んだ演技は会場全体を凍りつかせた。 

2位 うましか野郎「寝具の中でSing a Song」
シンガーソングライター志望の主人公のもとに歌の神様が夢の中に現れる。
寝てばかりいるグータラな女主人公が面白い。
全作品の中で一番直球なコメディ作品。
スポンサーさんの評価は一番高かった。

3位 ないすばでぃプロジェクト「ハナが見る世界」
同棲中(?)のカップルが休日ベッド周辺でいちゃいちゃしてるだけの芝居。
不穏、くすぐったい、低体温。
京都っぽいキュートさ。

4位 らふ☆トランポリン企画「天獄」
刑務所で二人の男が収監されている。彼らには現実逃避からか少女の幻が見える。
先輩役の掛谷将の飄々とした演技が良かった。ラスト鮮やか。

プログラムが全て終了し、4日間戦った劇団たちが、皆で酒を酌み交わし、他愛もないガールズトーク等をしてるのを見てやっと、
「ああ、公演やってよかったなあ」という気持ちが押し寄せて来た、
螢縫船Δ蓮2年に一回ぐらいならやっても良い」という言葉を頂いてるので、
またいつかやれる時が来れば良いかなと思います。
今回の「Display×Drama Bedroom Show Battle」に準備等含めて約2か月間、
このイベントに付きっきりになっていた。
千秋楽〜打上げが終了した後、しばらく精魂尽き果てて、
今回のイベントを纏める言葉がなかなか出なかった。しばらく呆けていた。
しかしまあ、ずっとそうしてる訳もいかないので、やっとこさPCに向かって書きだしてる次第です。

☆企画の発端☆

2008年にステージプラスでは「プラワン企画」というショーバトルをおこなっていた。
この企画はSNS等の呼びかけで集まった4〜5劇団(前売りノルマ制)が各々短編舞台を行い、
当日集まったお客さんからもっとも支持票を集めた団体が優勝→螢縫船Δ茲衢ゾ‐淺覆授与されるというイベント。
計3回行われた。
この企画を発展させたのが、今回の「Display×Drama Bedroom Show Battle」だ。

舞台にある商品(今回はベッドに置かれた寝具)が大道具として常置され(Display)、共通の美術として数劇団が芝居をし(Drama)、
お客さんに一番面白かった団体を決めてもらった上で順位付けをし、
同舞台で実際に使用した小道具(今回は寝具)を賞品として授与する。
企業は自社商品をプロモートできるし、劇団側は道具製作が省力でき、交流の場をもてる。
<モノを実際に見せる>ことと演劇は親和性が高いと思う。
こういった試みが過去あったか否か、寡聞にして私は知らない。

今回、このアイデアに思い至ったのは、ステージプラスができる前に
この地で営業していたスナックMICMACからの常連客である螢縫船Δ隆飮骸卍垢箸慮鯲があったからだ。
スポンサーというと大企業をイメージしがちだが、螢縫船Δ呂曚箸鵑票卍弘貎佑撚鵑靴討訃さい寝具卸製造会社だ。

裏では色々なトラブルが続発し、各劇団やスタッフには迷惑をかけたが 
なんとか事故なく乗り切れたのは、ひとえに優秀なスタッフと各劇団のおかげだ。
劇団「猫花」は帝塚山大学演劇部「花鈴」を引退した団員たちが結成した社会人劇団。
今回上演された「結束せよ!特殊営業部!」は旗揚げ公演で、オリジナル脚本。
正直あまり期待してなかったが、なかなかの掘り出し物だった。

巨大商社が舞台。同社では最近過度な成果主義によりリストラや自殺が蔓延。
そんな中経営本部肝いりのプロジェクトが進められる。
各部署から集められた曲者がチームを組まされ、一週間という期限で成果を求められる。
最初のうちは反目しあってたメンバーも、やがて結束し、己のプライドをかけてプロジェクトに邁進していく。。

舞台であまり見かけないオフィスもの。オリジナリティあり。
脚本、演出にパワーあったが、上演時間2時間はやや長い。短くすればもっと見れたと思う。

部長役で今回の座長前川健士には華があった。
ゲイっぽい人事部課長を演じた小山雄作も気持ち悪くて◎。

crashrush「まりっじ/プリント」

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レビュー » 演劇
執筆 : 
イチロウ 2016-5-21 17:30
2014年カレイドスコープというユニットにより徳丸¥1脚本の「まりっじ/プリント」という公演がおこなわれた。
隣り合ったマンションの2部屋の話で、2部構成。
前編(まりっじ)は新婚夫婦の部屋の話、後編(プリント)は漫画家の部屋の話。
二つの部屋の物語が微妙に入り混じるライトコメディであった。

同公演、キャストは劇団暇だけどステキの小出太一氏、舞夢プロの加藤遥子 
ステージタイガーの創設メンバー石神禿氏という芸達者なメンツによるもので、演出は石神氏が兼ねていた。

今回は役者を若手に変えて演出は石神氏(千秋楽のみ出演)が続投。
お客さんで両方のバージョンとも観た人は少ないと思われるので、両者を比較しての感想を述べても詮無いことだが、
やはり前回の方が見応えがあったし笑いもとれていた。

サドっぽい女編集者と、ゲイっぽいお隣さんはちょっと面白かった。
第一回 Display×Drama
「Bedroom Show Battle」
―小劇場が展示場になるー

Sponsored by Nichiu co.ltd

@Stage+Plus 天王寺
  2016.5.6〜5.8
参加劇団 うましかやろう ないすばでぃプロジェクト 無名劇団 らふ☆トランポリン企画

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概要

天王寺にある「Stage+Plus」では2016年5月6〜8日に演劇オムニバス公演が行われます。

「Display×Drama」は演劇界で初めての試みとなる「商品の展示と演劇の融合」を目指します。

今回は東住吉区にある寝具メーカー卸の株式会社ニチウ様とのジョイント企画です。

大の大人が真剣に遊ぶ場を提供しようと思います。

(株)ニチウ様ご提供の寝具をベッドに設置し舞台装置にします。

4劇団が参加し、各30分程度の短編を発表します。

舞台装置の寝具がそのまま優勝者にプレゼントされます。

ニチウ様には、お取り扱いの寝具をご提供頂いています。


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詳細

舞台上に(株)ニチウ様提供の寝具がセットされたベッドが一組置かれている。

・その空間をもとに、自由な発想で約30分の演劇作品を4組の演劇団体が作品を発表する。

・開場時にお客様に投票用紙が配られ、終演後その日一日で一番面白かった団体を選んでもらう。

・3日間5ステージの集計で一番人気のあった劇団が決定する。

最終日に贈呈式が行われ、ニチウ様より商品が手渡される。
  1位 羽毛布団(大)
  2位 羽毛布団(小)
  3位 敷布団
  4位 枕


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WHAT’S ニチウ?

株式会社ニチウは、東住吉区で本社を構える寝具製造卸の会社である。
社名の「ニチウ」は「日本 地球 宇宙」の略である。
株式会社ニチウの社長である丸山氏は今回の演劇祭企画者である高木市郎の両親が経営していたBAR「MICMAC」時代から現在のステージプラスまで、20年以上通っていただいている常連客である。
氏自身は演劇とは全く無関係。
2008年に3回開催された「プラワン企画」(4〜5団体が一夜限りで短編芝居を公開し一番面白い団体を観客が決める。舞台には特に特徴はない。)においても、ニチウ社の製品を賞品として提供していただいた。

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Display×Dramaの特徴

実際に商品を見せるということで
 親しんでもらえる
・メセナ(企業による社会貢献)効果。
・比較的安価でプロモーションできる。
・演劇界では新しい試みなので注目される可能性が高い。
・販売促進の一助になる
  (当日来場のお客様には商品カタログがお客様に配布されます)。
・若い世代の育成。
・大阪から文化を発信すること意味。
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