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ブログ - 201712のエントリ

Litmus「曲がれ!スプーン」

カテゴリ : 
レビュー » 演劇
執筆 : 
イチロウ 2017-12-28 1:13
「曲がれ!スプーン」はヨーロッパ企画の代表、上田誠氏が2002年執筆。
「冬のユリゲラー」の名前で初演された。
2009年には長澤まさみ主演で映画化もされた。
21世紀に入ってから書かれた演劇脚本の中ではかなり有名な作品。
私も今回の公演前にすでに同脚本は読んでいた。

物語はエスパーに憧れるマスターが経営する「カフェ・ド・念力」が舞台。
その名前に惹かれてそこはエスパーたちのたまり場となっている。
(エスパーといっても、普通の大学生ノリの兄ちゃん達)。
クリスマスのある日、新入りのエスパーの歓迎を兼ねたクリスマスパーティーが開かれる。
彼らが自己紹介がてらに超能力の実演(念動力、テレパシー、透視等)をしているところに、
「自称」超能力者と彼を取材するべくテレビ局の若い女性ADが来店してきたところでややこしい事態が発生する。。

前半の超能力の実演のくだりは面白かったのだが、後半、女性ADが出てからがやや退屈だった。
本物のエスパー、自称エスパー、女性ADの駆け引きのくだりが、この戯曲の肝なのだが、ここが淡泊だった。
うまく言えないのだが、外面と同時に内面のテンションをキープするというか。
テンポは悪くなかったが、観客に考える隙を与えてしまった。

マスター役を演じたばとらは良かった。

舞台周囲には白い不敷布が敷かれ、繭のようにも、渦のようにも見える。
素材的に灯の当て方によって様々な貌をみせる。

中央にはちゃぶ台にティッシュ、ゴミ箱。 
抽象さと具象さが一見アンバランスだが、妙に美しい。

舞台構成はほぼ3幕、45分の短編。室内劇。
登場人物は若い夫婦と妻の浮気相手の3人のみ。ミニマム。
時代設定は現代のようでもあるし、まだ日本が貧しかった70年代のようでもある
(物語内では軍事大国ソ連が健在)。
室外では11月の季節外れの台風が来ているようで、終始雨音が聞こえる。

3人の俳優がそれぞれ良い。

新婚妻は、つわりが酷い様子。
唇のかさぶたを剥がすのが癖。
ゴミ箱には彼女が血を拭いたティッシュがいっぱい入っている。
(こういう皮膚感覚に訴えかける演出が随所に見受けられる) 

旦那は飯を食べる時に一口ごとに匂いを嗅ぎ、ぺちゃくちゃ音をたてて食べる
(実際に舞台で本物の親子丼を食べる)。
職場で浮いてるようだ。

妻は旦那に秘密の浮気相手がいる。
男は万引きの名人で革命国家樹立を夢見ている。
女とは元同士みたいな関係。

とぼけた笑える箇所はあるものの、終始緊張感がヒリヒリと漂う舞台。観客の想像力を刺激する。
物語は何も始まらないし、何の決着もない。
万人受けではないが、私は面白く観た。
 
特筆すべきは、難しい役を演じた浮気相手役の下原祐治。
昔風の男前でクセが強い、人情味薄そうでミステリアス、若い頃の中尾彬を見てるようだった。

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