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ブログ - レビューカテゴリのエントリ

演劇集団”ゆらめき”はアクタースクールで知り合った仲間たちによって結成された。
今回の公演はオリジナル台本。かなり独特の世界観を持つ作品で楽しめた。

ストーリーはこれといって無い。
常冬の「時が刻めない小屋」男女が住んでいて、
ある日、もう一組の男女がやってくる。
男2、女2の4人芝居。

最初小屋にいた組は2人とも裸足で、やってきた2人は靴下を履いている。
「夢幻能」は死者の舞で、シテは生者を想像させる肉体を極限まで隠す(顔だけでなく手首や足までも)。
能を意識したような、緩やかだけど張り詰めたような緊張感漂う舞台空間。

必要最小限の動き。
死者と生者は折り紙やお手玉をしたりして遊ぶ。
呟くような発声。
たき火の爆ぜる音、小屋に吹き込む風の音、琴の音、すごく音を大事にしている。
ロシアの映画監督アンドレイ・タルコフスキーを彷彿させる静謐な舞台。

やがて春が来て生者去っていくが、小屋にも時間が流れ始める。

女優二人の素材はかなり良いのだが、今ひとつ魅力生かしきれてなかった。
カジュアルな衣装が舞台の雰囲気を軽くしていたようで、
このテーマならもっと大胆にいった方が面白かったと思う。

オリゴ党「あと8kg」

カテゴリ : 
レビュー » 演劇
執筆 : 
イチロウ 2017-5-1 19:04
オリゴ党は平成4年に結成され、今年25周年を迎える大阪では古株の劇団である。。
本公演は第29回公演。若い劇団の利用が多いステージプラスで大ベテラン劇団の利用は珍しい。

去年「虫の何たるか」今年「愛と勇気だけが友達」と、
劇団第一主義が打った公演の脚本がいずれもオリゴ党主宰岩橋氏によるもので、
そこからの縁で今回の公演の運びとなった。
今回は本公演用に岩橋氏が書き下ろし演出したもの。 

本作を含む3作品を観たかぎり、「孤絶された空間での群像劇」が岩橋脚本の通底項か。
「虫の何たるか」は人里外れた洞窟が舞台だし、「愛と勇気だけが友達」も奇妙な方言が話される村落が舞台だ。

今回の舞台は郊外のダイエット合宿だ。
ダイエットは今の日本では宗教に近いかもしれない。モデル体型は善でデブは悪という。
5人の女性参加者、運営スタッフに男性2人、女性が1人、謎の男1人。 
彼らが一週間共同生活を行うのだが、肝心のダイエットメソッドの提唱者兼責任者が姿を見せない。。

考えるに、この舞台で示されたテーマは二つ。集団の組織論と身体の組織論。
集団の組織論
ダイエット提唱者兼責任者が現れないまま、メソッドを推測し模倣しながら合宿は進んでいく。
勝手な解釈はだんだんとそれ自体がオリジナルになり、やがて集団はカルト化する。 
訪れないゴドーをただ待つだけの悲喜劇「ゴドーを待ちながら」の匂いも若干あり。
ダイエット道場を隠れ蓑にした新興宗教施設なんて本当にありそうだ。
劇団主宰と劇団員との関係、セルフパロディともとれた。

もう一つは身体の組織論

今の私の身体は頭のてっぺんから足の先まで全て私の身体だ。
ならば、減量で消えていった体重にどくらいの配分で私はいたのか?
失った8kgは何処へ行ったのか? 
新陳代謝。
1秒前の私と今の私は違う、連続してると思うのは錯覚だと、心理学者のアルフレッドアドラーは言う。
私とは何か?

結論は出されないまま、ぼんやりとした不安を残して幕が閉じる。 

徐々に狂気に侵されていく、妄想プロデュースのあまのあきこの演技が光っていた。 

劇団第一主義「愛と勇気だけが友達」

カテゴリ : 
レビュー » 演劇
執筆 : 
イチロウ 2017-2-20 16:38
劇団第一主義は2016年7月に「虫のなんたるか」を当ステージプラスにて公演し、
同年のステージプラスアワードで作品賞を受賞。
約半年の間隔を置いて、今回も前回と同様、オリゴ党岩橋貞典氏の戯曲。
3本の連作短編。

本公演、タイトルが示す通り、国民的アニメ「アンパ〇マン」へのオマージュ作品である。
「アンパ〇マン」はよく見ると、相当に変わった作品だ。
アンパ〇マンはお腹が空いてる子供に自分の顔を与えるし、
カレーパ〇マンは怒ると口の中からカレーを吐き出す。
幼児特有の明るい不条理さ、変態さに満ちている。

 屮ーニバル・カーニバル」
チンピラ風の男二人が山奥で産廃場がらみのヤバい仕事の途中で道に迷って奇妙な村落に辿り着く。
何語ともしれぬ方言を話す村人たち。
その村は今まさに、代々続く「大祭」の準備に大忙しだ。
腹を空かせた2人は洞窟でお供えの饅頭を食べてしまう。。
諸星大二郎風の土俗ミステリー。
3本の中でも抜群の面白さ。これだけで一本観たいと思うくらい。

◆崙蓋骨からカレー」
ほぼ一人芝居 一人語り。
銃声が響く。ある男が敵に追われている。都会の雑踏。
彼には「溶岩を頭でイメージし放出する」能力がある。
吐き出される液体はカレースープなのか?
破裂した顔や魂はどこへ行くのか?その欠片は縫い合わせることができるのか?
魂問答が続く。

「おじさんのジャム」
ある山の中腹のパン屋が舞台。新人の女子バイトがやってくる。
そんな辺鄙な場所なのに、毎日大勢のお客さんがやってくる。
その店には、虫を研究していた過去のある店長と、その妻、女性バイト数人が働いている。
店長はバイトの女性たちに手を出している様子。妻はそのことを知っていていつもピリピリしている。
男女のドロドロ模様。
店長は、過去自分を虐めた者への復讐として、
「自分が作ったジャムを一口舐めると一生虜になる呪い」を修得したらしい。。


不気味で効果的な照明、遊び心のある衣装も素晴らしかったのだが、
何をさて置き、例のアニメの陽気なマーチ曲をマイナーキーに置き換え、
ジンタ風の懐かしく物悲しい曲にチェンジした音響チームに拍手を送りたい。

芸達者達による競演だったが、
,廼元い魎兇犬気擦訛篠后↓でジャムおじさんを演じた木下聖浩氏が本当に素晴らしかった。

GABU「いちじく、或いはザクロ。」

カテゴリ : 
レビュー » 演劇
執筆 : 
イチロウ 2017-2-12 0:58
GABUは近大文芸学部舞台芸術専攻を卒業した女性3人のユニットだ。
今回の公演はオムニバスというか、自分たちの面白いと思うものをゴロンと並べたような感じだった。 
ゆるい話とダンスのコラボレーション。
大上段に構えることなく等身大の自分たちを描いた姿勢に好感が持てた。

「朝」
起床から通勤のイメージ。
具象よりコンテンポラリーダンス。
挑発的、ポップでカラフル。照明がかっこよかった。

「余興」
安室奈美恵「キャンユーセレブレイト」が流れる中、
友人の結婚式にいくら包むか、余興に何の歌を歌うかを2人の女性が話し合っている。
体験談と思える。アルアルネタ。
ラストの着替えシーン、鮮やか。

「ティッシュ」
背番号が付いた体操着を着た女が、ティッシュを床に落とさないように息を吹き上げ舞台中を走り廻る。
極端にヒマな時にやる一人遊び。よくぞこんな馬鹿馬鹿しい演目を舞台に上げたなと逆に感動した。
 
「シュガーソルト」
デブフェチのバイト先の先輩、主人公の女子はダイエットして嫌われてしまった。
もう一度太るためにバカ食いを決意する。
コンビニの袋から出されるジャンクフードの数々。
海苔塩ポテチ、魚肉ソーセージ、チロルチョコ、シフォンケーキ、コーラ。。
女優がガチで貪ってる(終いにはマヨネーズのボトル飲みも)時に、
塩分の精、砂糖の精が現れる。。

舞台上のタブー(もちろん打合せ済)も、人(女性)としてのタブーも無視して、
只管「私が面白いと思うことをリアルに観客にみせる」と姿勢には只々感動した。
彼女たち3人はM1とかお笑いやってもいけそうな気がする。

劇団アシデマトイ「Book!Book!Book!」

カテゴリ : 
レビュー » 演劇
執筆 : 
イチロウ 2017-1-31 14:16
ステージプラスでお馴染みの劇団アシデマトイ。
今回は3本のオムニバス作品(各和が微妙に関係している)。全編図書館が舞台。

ー茲蟆しが決まっている学校の図書館には「花子」という幽霊が出るという。
 ボンクラ男子高校生と幽霊の交流。
 
⊇活中の女子大生、面接を落とされまくっている。
 彼女はエントリーシートを書くのに追われているのだが、つい趣味のBL小説執筆に気が入ってしまう。
 彼女の妄想内では戦艦大和の乗組員が武蔵と小次郎で、二人はムフフな関係であるが、
 その妄想世界にも就活上の境遇が紛れ込んでくる。
 
M墜訐の女子高生3人組が昔よく遊んだ図書館に引率の教師と共にやってくる。
 彼女たちは、昔図書館の壁の隙間に宝物を隠していた。
 司書、引率の教師、3人組によるドタバタ劇。
 

〃狠張▲轡妊泪肇し狠聴のムーチョこと笠牟田亮輔、今までコチャコチャしてて見栄え悪かったが、
 今回は弾けぶりが良かった。
武蔵と小次郎二人の掛け合いが馬鹿馬鹿しくて面白かった。
 特に小次郎役の内田美咲が軽妙なコメディエンヌぶり◎。
この回は印象に残らなかった。。

各話の構成がうまかった。

STSGE+PLUS AWARDS 2016

カテゴリ : 
レビュー » 演劇
執筆 : 
イチロウ 2017-1-11 15:02
2016年、個人的にはやはり、「Bedroom Show Battle」プロデュースが最も大きなイベントだったろう。
公演を打つ楽しさ、しんどさを久しぶりに味わった。
今回のawardからは同公演は手前味噌になるので除外させてもらった。

2016年、ステージプラスでは23公演行われた(Bedroom Show Battleを含む)。
毎年思うことだが、特定の部門に優秀な才能が集中するとすごく困る。
今回の主演女優賞は有馬九丁目の川辺美紗子、クレナイヌの羽田兎桃、ミネットのひとみ、と散々悩んだが、
タッチの差で井料明里produce「無知との遭遇」の彼女を選んだ。

主演男優賞は断トツでクレナイヌ「朝に死す」の仲野元貴。
彼の圧倒的な眼力にやられた。

作品賞には人間の不条理をゴロッとそのまま提示した多重構造的な作品「虫のなんたるか」を選んだ。
同作品上演時の感想 http://stageplus.net/modules/blogplus/details.php?bid=264


作品賞    劇団第一主義  「虫のなんたるか」 
演出賞  クレナイヌ  「朝に死す」 
脚本賞  有馬九丁目annex 「NEXNEISIST」
舞美賞  クレナイヌ  「朝に死す」
音響賞  有馬九丁目annex 「NEXNEISIST」
照明賞 劇団ミネット  「Recovery」
ベストチラシ賞  クレナイヌ  「朝に死す」
衣装賞  劇団ミネット  「Recovery」 
メイクアップ賞 くじらん本舗 劇団無♢垢 「天空のハルモニア」
短編作品賞  東京ガールプロデュース企画 キリンの鼻、ゾウの首 「後逸」
主演男優賞  仲野元貴  「朝に死す」
主演女優賞 井料明里 「無知との遭遇」
助演男優賞  ことぶきつかさ 「虫のなんたるか」
助演女優賞     相田莉央 「恋はぐだぐだ」 

さて2017年、ステージプラスは10周年を迎えることになります。これも皆々様のお陰です。
これからも、演劇に携わる全ての人々から、
もっと愛される劇場、もっと愛される小屋主になるべく頑張っていきたいと思います!

ステージプラス2016年全公演リスト

カテゴリ : 
レビュー » 演劇
執筆 : 
イチロウ 2017-1-7 0:06
ステージプラス2016年全公演リスト

2/13〜14 劇団ホウコウセイ「澱み」
2/27〜28 劇団オカシナヤツラ「しようと想ってやっぱりやめた!」
3/4〜6 演劇集団関奈月「恋はぐだぐだ」
3/11〜13 演劇ユニット空想科学「遊星から愛を」
3/18〜20 有馬九丁目ANNEX「NEXNEISIST」     
3/26〜27 弥生申プロデュース 「Near the Sky」
4/29〜5/1 crashrush「まりっじ/プリント」
5/6〜8 Display×Drama 「Bedroom Show Battle」
5/14 劇団「猫花」「結束せよ!特殊営業部」   
5/28〜29 クレナイヌ「朝に死す」          
6/3〜5 劇団トイレットペーパーの芯「家庭防衛軍」「本音と建前」「サンタの裏事情」
6/25〜26 やれるだけやってみた企画「ブラックコーヒー」
7/6〜10 劇団第一主義「虫のなんたるか」  
7/16〜17 井料明里Presents「無知との遭遇」     
7/20〜21 第4回 Iの見つけ方 〜男は顔ではない。男は顔つきだ。
9/17〜19 PAM 1stALBUM「Hello,WORK」
9/23〜25 東京ガールプロデュース企画 キリンの鼻、ゾウの首。Vol.15「カラスの真似事」
10/22〜23 シカゴ電鉄「解散ライブ」
10/28〜30 東京ガールプロデュース企画 キリンの鼻、ゾウの首。Vol.16「またたび」
11/5〜6 劇団ミネット「Recovery」「Disorder」       
11/25〜27 東京ガールプロデュース企画 キリンの鼻、ゾウの首。Vol.17「後逸」
12/3〜4 劇団無♢垢 「天空のハルモニア」             
12/17〜18 劇団うてな「SUITE PLAZA」

全23公演
劇団うてなは2003年に旗揚げした社会人劇団で、
ステージプラスで2011年10月の「七味のわがまま」、2013年「California Suite」に続いて3回目の公演。
前2作に続き今回もニールサイモンの戯曲で、3つの短編によるオムニバス。
舞台は3本とも、ロンドンにある高級ホテルのスイートルーム。

 崟胸察
スランプに悩む酒浸りの売れっ子小説家、彼の財産管理を任されている会計士が彼の預金を全額横領した。
ピストルを片手に会計士を尋問する小説家。
タランティーノ風と言ってもいいぐらいのシリアスで切れ味の良い短編。

◆峙国」
ロンドンにショッピング旅行に来た50代と30代のセレブ母娘。
母はのんびり屋、娘はしっかり者。
母は夫に先立たれ、娘は子供が一人いる。
明日朝には帰国便に乗らなくてはならないのだが、母は出発便でスコットランド紳士にナンパされ、
ロンドン最後の夜ウエストエンドでデートすることになり、娘は二人の恋を実らせようとする。
人生の機微を感じさせるほろりとさせられる一編。

「床の男」
アメリカ人夫婦がウインブルドンテニスに行く為に同宿に泊まったのだが、
荷物全部探してもチケットが見つからない。
妻が怒ってラウンジでお茶している間、夫は暴れて持病の腰痛が出てしまう。
痛みの余り、床に這いつくばったままの夫。
大忙しのホテル、夫婦が泊まった部屋は本来ケビンコスナーが予約していたらしく部屋替えを急かされる。
お約束のギャグありのスラップスティックな楽しい幕。

3作とも、うてな常連役者による息の合ったプレイ。安心して観れる。
過去2作はコメディのみだったが、今回はシリアスあり、ほろり系あり、ドタバタありとバラエティー豊かだった。

2幕の母役吉岡明早子と3幕夫役薗浦幹男が良かった。
くじらん本舗/劇団無?垢は今年25周年を迎えるキャリアが長い劇団である。
これまで北巽にあるアトリエ・アルルカンZEROを中心に公演をうっていたのだが、
同館閉館に伴って、今回は当ステージプラスで公演する運びとなった。

本公演、役者は女性3人のみ。 
舞台は軍事的に緊張状態にある中世ヨーロッパを思わせる小国の町はずれ。
魔女が住む小屋が主な舞台。
登場人物は高圧的な軍人、魔女、革命家を目指す少年。

全4部作サーガのうちの3作目ということで、人間模様が入り組んでいる。
セリフの中だけに出てくる人物が多すぎるので、物語に入りずらかった。

タイトルにある通り、音楽が重要なテーマとなるだけに、音響が良かった。
特にマーラー交響曲第5番(ベニスに死すのテーマ曲)がバックに流れる殺人シーンは鳥肌もの。
迷路状の舞台作り、ドラマチックな照明も素晴らしかった。
全体的に宝塚的というか時代がかった大仰な演技は、やや古臭さを感じた。
維新派主催の松本雄吉氏が亡くなった。
私が今こうやって劇場主の仕事をやっていること、そもそも演劇に興味を持ったのは、
高校2年の時に観た日本維新派の衝撃があったからとっても過言ではない。

☆日本維新派のこと

「日本維新派」は当時堺市遠里小野橋に小屋(さして広くない日本家屋)を持っていた。
3か月に1回、その場所で「化身塾」というシリーズ公演を行っていた。
「天井桟敷」は既に観ていてアングラの洗礼は受けていた。
たまたま情報誌プガジャで日本維新派の広告にヤバい雰囲気を感じ取り、一人で維新派スタジオに出向いた。
あの時体験した出来事達を、記憶を手繰り寄せながら書いていこう。

阪和線浅香山駅から降りて暗い道のりを10分程歩くと、ライトアップされた日本家屋。
見世物小屋に入るような、危険な香り。高校生割引があった。
庭に実物大のゾウのオブジェが置いてあったと思う。
畳に座って、舞台を見る。近い。 

基本男女とも全身白塗りで身に着けてるのはふんどしのみ。
「ペルシャの市場にて」をBGMにした派手な行進。
腕と足首を結束されて、白塗りされた5つの尻がシンメトリーに回転しながら、
「生きているのが 辛かったので 犬になって 戻って参りました」
日本家屋の舞台奥がせり上がり滑り台状になり、役者たち転びつ、登りつする。
ラスト舞台奥の壁が倒れ、彼方の広場より役者が奇声を発しながら此方に駆けて来る。

終演後、白塗りの男優が「この後、酒席を用意させていただいております」
酒宴が始まり、茶碗酒が振舞われる。
このままここから帰れなくなるんではないかという思いがよぎる。
帰路、人気のない薄暗い浅香山駅のホーム、佇む少女に声をかけた。その娘は「私、維新派入ろかと思うてんねん」と言った。

☆阿呆船のこと

松本雄吉氏の追悼上映会がシネヌーヴォで行われた。
34年前の私が何を観たのか確認したいと思い、今回「阿呆船」の上映会に出向いた。
この作品は'83年大阪駅操車場跡で行われた「月光のシャドウボール」のドキュメントである。
滅多に観れない秘蔵のフィルムを目に焼き付けようと、会場は超満員。

「どこのもんや 何しとるんや」 「ござざんぶ ござざんぶ」
「あの世では雨が降っている 踊ろう」 「ヘチマです」
「あの人は悪い人やない けどよう酒飲む人や」
グリコのおまけ、湯たんぽにて焼けた踵の傷、白玉の団子、老眼鏡。
通俗的な単語でリズムを作る 今の維新派に繋がる言葉遊びはこの頃から萌芽があった。

長い舌をぶら下げた男、取り押さえられて鉈で舌を切られる。 
男同士口移ししながらベチャベチャしたものを食らう。
ゲロを吐く。
球形の籠に入れられて連れ去られる男。

アントナンアルトー「残酷の演劇」を体現したかのようなスペクタクル。
この世ならざる光景が舞台上で繰り広げられる。
スタイリッシュとは対極、アホなことを全力でやる大阪魂。
プリミティブでアナーキー。時としてユーモラス。
私を含め観客は鑑賞後作品の熱量に圧倒され、顔を紅潮させて、会場前で帰るに帰れずただ屯っていた。

☆「アマハラ」のこと
東京に出て約15年、「日本維新派」は「維新派」と名を変えエログロからアートな劇団に変わっていた。
90年代にアングラは時代的に難しい。
リニューアル後初めて観たのは99年「水街」。昔とは打って変わってリリカルな世界感。
全くスタイルを変えた維新派はそれはそれで素晴らしく、ファンになり、その後の作品も何度も通った。

「アマハラ」鑑賞。
氏が亡くなった後、生前に取り掛かっていた野外公演「アマハラ」が、そのまま公演された。
奈良 平城宮跡で行われた。
維新派のもう最後の公演との噂を聞きつけて、前売り券は早々に完売。
駅から会場に向かうまで、一面ススキが黄金色に輝いて、美しい。

奈良時代の遣唐使からのイメージか、野外劇場は「船」を思わせる造り。
物語は富国強兵の時代、日本の商売人たちは一旗上げる為に、アジア中に散らばっていく。
政治的に難しい舞台設定だが、偏向することなく、
泣かせ、笑わせ、最後はしんみりとさせられた。
ラスト、舞台の後方に一面黄金色のススキがライトアップされた。浄土のように穏やかに光輝いていた。

終演後、恒例の屋台村をブラブラしていたら、松本氏の祭壇が飾られていた。良い笑顔だった。

☆最後に
若手時代の井筒和幸監督が日本維新派を題材にした「足の裏から冥王まで」もシネヌーヴォで上映していた。
こちらの方はソールドアウトで買えなかった。
リベンジでここステージプラスでの上映許可を維新派に直訴しようと思っている。
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